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幾日経ったのか。
闇は静けさを取り戻し、あの恐ろしい音も聞こえなくなっていた。
大好きな父も、優しい姉もいない。
誰の声も聞こえない。
何も見えない。
時間の感覚など、とうに無くしていたが、空腹を感じては闇の中を手探りで渡り、手に触れた物を何でも口に運ぶという行為を繰り返し、少女は細い命を繋いでいた。
それはあくなき生への執着心。本能のなせる所業であった。
そんな世界に変化をもたらしたのは、二人組の旅人だった。
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