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翌週、仕事から帰ったアタシに祖父がしきりに瞬きをしてくる。
目にゴミでも入ったのかと思って見ていた。
食卓テーブルにつき、ご飯を食べながらも祖父を見ていると、何度もこちらを見ては瞬きをする。
『お爺ちゃん、どうしたんですか? 目の調子がおかしいんですか?』
祖父に気付いた母が声をかけると、いやと答えしょんぼりした。
食事を終え片付けたあと部屋に入ると、暫くしてドアをノックして祖父が入ってきた。
『あ、お爺ちゃんどうした?』
『菜々子、わしがウインクしたの気付いたか?』
あ、あれってウインクだったのかい。
『ごめん、気付かなかった』
そう笑うアタシに祖父が笑顔で話し出した。
『えーとな、喜んでくれたぞ』
その言葉でアタシもピンときた。
『藤田さん?』
『うむ。凄く喜んでくれた』
祖父が零す笑顔にアタシまでもが笑顔になる。
『良かったじゃん。ねぇ藤田さん何て言ってた?』
祖父をベッドに腰掛けさせ、アタシも隣に座った。
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