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ユウは、近くの椅子に腰掛けて
『やっぱアイツら、怪しすぎですね。』
顔をしかめた。
多人数があんな格好でうろついてたら誰でも怪しいと思うに決まってる。彼らは案外馬鹿なんじゃないかと思った。
もし写真の女の子の事を知っている人がいたとしても、怪しさ全開のあの格好では誰も教えてくれないだろう。
洗った鍋を丁寧に拭きながらおやっさんは尋ねる。
『用心棒かなんかじゃあねぇのか?』
ユウはおやっさんと一度目を合わすと、自分の腰に手を回しエプロンに隠れたベルトから鉄の塊を引き抜きながら言う。
『ただのSPがこんなモン持ってるなんて思えないんですけどね~』
軽い声で言っているが、表情は至極真剣だ。
おやっさんはユウの左手でクルクルと回転するモノを見た。どんな状況で使われるのかもわからないような小型の銃。
わからない、というのは先端に15センチ程のナイフの刃がとりつけてあったからだ。
『……スったのか』
『まぁバレはしないでしょ。アイツバカっぽそうだし、どっかに落としたとでも思うんじゃないですか』
ユウはしれっとして答える。スーツの埃を払ったときに能力を使いスったのだった。
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