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ユウには自覚があるのだ。
【自分が出来ること】の範囲はかなり広いということに。
おやっさんはゾッとした。
が、それはユウに対する恐怖ではなかった。
自覚があるからこそ、ユウは絶対に一線を越えることは無いだろう。
小さな頃からユウを知っているおやっさんにはわかる。
彼は人を不用意に傷つける事はしない、力があるからこそ見える世界があり、それがユウの心を形作っているのだとおやっさんは思ったからだ。
恐ろしいのは、本当の神の力。
この力を使いこなせる、一線をいとも簡単に越えられる人物だ。
おやっさんは何かを言おうとしたが、途中でやめ、話を切り替える事にした。
『警察はわかったけどよ、救急車はどうするんだ。体中傷だらけだったが、お前が全部治せる傷なのか?』
はい、とユウは答える。
『問題ないです。見た限り俺の手より大きな傷もないし、感染症等の心配も無いみたいです』
この程度なら俺の左手を使えば救急車呼ぶより早く治せますよと、ユウは笑顔で言う。
ユウは台の上を見た。
少女はいまだスヤスヤと寝息をたてている。
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