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時間は一時間前に遡る。
『どれどれ……おっ、綺麗に食べてんな』
ユウは店の裏に置いてあった鍋の中をのぞき込んでいた。仕事が一段落ついた為、餌の鍋を回収しにきたのだ。
ユウは鍋を拾い上げると、鍋の影に隠れていた猫を見つけて頭を撫でた。
にゃあと撫でられた猫が鳴くと、それを合図にするかのようにゴミ箱やゴミ袋の隙間から次々と他の猫が集まってくる。
数は…1、2、3、4、5匹。
色は黒や三毛猫等様々だ。
ユウは満足げに
『よし、これで全員揃ったな』
と言ったところで、ふと気付いた。
『あれ?やっぱり間違いとかじゃねーみたいだな』
鍋を持ってきた時と今を比べてみても、やはり猫の数は5匹。
餌を食べていたのも5匹だった。
『じゃあさっきの音は何だったんだ?』
ユウはさっき音がしたゴミ箱の方を見る。確かあそこの裏には錆びたマンホールの蓋がある以外、何もなかったはずだ。
『新しい入居希望者でも来ちまったのか~?』
ユウはドキドキしながらゴミ箱に近づく。できればこれ以上世話手間に増えて欲しくは無い。
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