2413人が本棚に入れています
本棚に追加
「いつ見ても変わらないな、その美しさ」
鬣を撫でると光麒は目を細めて気持ちよさそうな表情になった。
「さあ、次はテンリ様の番でごさいますよ」
光麒がそう言うとテンリは名残惜しそうに撫でるのを止める。
そして数歩下がり光麒と同じように目を閉じる。
ブァッと強風が吹き一瞬にしてテンリは竜の姿へと変化していた。
その姿は白銀の鱗に被われて日の光に反射し、真っ赤な瞳を際立たせていた。
光麒は自分より何倍もの大きさのテンリを見上げる。
「貴方もお変わりありませんね。出逢った頃のままの美しさです」
「そうそう変わるものか。さあ光麒、行くぞ」
テンリは翼をはためかせ空へと向かった。
光麒はテンリを追った。
この日、白銀の竜と金色の麒麟が金粉を撒きながら空を駆けていたそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!