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にはかなり不評である。
桐子と友也が雑然と散らかった長屋の廊下を進んでいると、奥手の部屋から二人の男が出てきた。映像研究会の森田と坂上だった。二人ともまだ三年だが、完全に長屋の雰囲気に融合していて風格は院生に近いものがある。長身で手足の長い森田と脇で彼を見上げるようにしてペラペラ喋っている坂上は桐子たちを目に留めるとそろって声をかけた。
「よお。今から部活?」
桐子が軽く会釈して挨拶を返す。
「そうです。あ、この間はテレビなんか頂いてどうもありがとうございました。これでうちもやっと文化的な部になりましたわ」
坂上は頭をポリポリ掻きながら言った。
「そりゃ良かった。近いうちにビデオも何とかするから、もうちょっと待っててくれ」
映像研究会、通称〈映研〉の部室の大半はどこから集めてきたのか壊れたAV機器で埋まっている。先日、桐子たちが彼らから貰ったテレビもそこから発掘されたということだ。
映研の嬉しい申し出に桐子は慣れた様子で再び猫をかぶり「どうもすいません。今度お礼に伺いますから」と営業スマイルを決めた。
森田と坂上は「いーから、いーから」と相好を崩しながら長屋の出口に向かっていった。
二人の姿が見えなくなると、友也はぽろっと呟いた。
「何というか……たいしたもんですね」
「何が?」
「いや別に……」
友也の皮肉をさらっと流して、桐子は斜めに傾いている〈犯罪心理学研究会〉とレリーフされたプレートをまっすぐに直し、ドアを開けた。
「みーくんいるー?」
と声をかけながら中に入った桐子は後ろ手でドアを閉めようとする。それを見越していたかのように友也はスッと自分も部屋に入った。
「いまーす」
と部屋の向こうから陽気な声が返ってきた。みーくん、と呼ばれたワイシャツ姿の彼は読みかけの雑誌をテーブルに置いて二人を迎えた。
「なんだ、やけに早いな、お前」
と言って友也はあまり教科書の入っていないバックをソファーに放り投げた。それを脇にどかすと桐子はさっさと腰掛けた。
「今日はホームルームが短かったんですよ」
と犯罪心理学研究会、三人目のメンバーが答えた。
志賀幹雄、現在、栄羽学園高等部一年生。制服を着ていなければ男か女か分からないような顔立ちで、背も桐子や友也に比べて頭一つ分低い。そのため年齢よりも遙かに幼くみられ
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