出る便所

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私の知人Uの体験談を書かせて頂きます。 夏、Uは友人4人と川魚を釣るため、渓谷のコテージに泊まる事になった。 コテージに到着し、管理所でコテージの鍵と調理器具一式を借りていると、管理所のオヤジが、話し掛けてきた。 「あんたら、釣りしに来たのかい?それとも、怪談話かい?」 U達は、「怪談話?」と思いながら、こう答えた。 「釣りだよ。まー、季節が季節だから怪談話もするかも知れねーな。」 オヤジは、更に質問してくる。 「酒は、結構持ってきてるのかい?今夜は飲み明かすのかい?」 U達は皆、大酒のみで缶ビールをワンケースと焼酎を持って来ていた。 「あぁ。結構飲むと思うよ。でも、明日も釣りをするから、早めに寝ると思うけどな。」 その問いにオヤジは「・・・そうかい。ならまぁ・・」と答えた。 どうもオヤジの様子がおかしい。 U達は、気になり、 「なんだい?怪談話をして、遅くまで起きてると、なんかあるのかい?」 とオヤジに聞くと、オヤジは手の甲を胸の前で垂らし、こう答えた。 「いやぁー、男だけで泊まりに来るとなぁ、たまに出るんだよ。  特に怪談話をしていると、出やすいらしい。  それ目的で来る客も多いんだがなぁ。  結構前になるが、知らないで泊まりに来た客が、見ちまってな。  そんで、ショックでぶっ倒れちまって救急車で運ばれちまった。  だから、一応忠告しておこうと思ってな。」
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