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そして、オヤジは続けてこう言った。
「あんたら、見たいかい?」
Uは、「ちょっと見てみたい。」と思ったが、周りの4人は反対の意見だったようで、
「勘弁してくれ。見たくねーよ。」
と口を揃えて即答されてしまった。それを聞いたオヤジは、
「そうかい。そうかい。見たくないかい。」
そう言うと、少し離れた高台にある小屋を指差した。
「ほら、あそこに小屋があるだろ。あれが共同便所なんだが、あそこで出るんだよ。
何が出るかってーと、“手”が出てきよる。
で、覚えておいて欲しいんだが、夜中に便所に行ったら、必ず便器をにらみ続けてくれ。」
Uは、「へぇ?」と興味津々で便所を見ていた。オヤジは更に話を続ける。
「便器をにらんでれば、その“手”は出てこない。
少しでも目を逸らすと、“手”が出てくるからな。
引きずり込まれないように、にらみ続けるんだよ。」
今まで怪現象の体験をした事がなく、幽霊等には興味津々のUだが、さすがに、
「汲み取り式に落ちるのは、勘弁。」と思ったらしく、オヤジに「気を付けるよ。」
と言い残し、管理所を離れた。
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