出る便所

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コテージに着くと、やはり格安だった為、単なる掘っ建て小屋で、便所は付いていなかった。 その日の釣果はそこそこで、持参した食材と釣った魚で飯を食い、あまった魚を肴に酒を飲み始めた。 ビールの利尿作用が聞き始め、Uの仲間4人は便所に行き始めた。 そして、便所から戻るたび同じ事を口にする。 「あの便所こえーよ。マジ出ても不思議じゃねぇー。」 Uは、4人の胆の小ささにゲラゲラ笑っていた。 当のUは、何故かその日は便所が遠く、もよおさなかった。 酒も入り、悪乗りしたUは、 「そんじゃー、そろそろ怪談話でも始めるか!」 と言い出した。 仲間の4人は、慌てて止める。しかし、Uはそんな事お構いなしで、一方的に話し始めた。 Uが話し終わると、仲間の4人も観念したのか、それとも酔っていた為か、怪談話を順番に話し始めた。 一通り怪談話も終わると、「そろそろ寝るか。」という事になった。 ビビりまくっている4人は、床に着く前に「もう、あの便所には行かない。」とコテージ の周りの草叢で立ちションをした。 しかしUは、寝る前も尿意は無く、結局1回も便所に行かずに寝る事となった。 深夜Uは、ふと目を覚ました。 起きた瞬間、半端ない尿意が襲ってきた。膀胱が悲鳴をあげている。 「やばい、洩れる!」と布団から飛び起きると、Uはコテージを飛び出し、洩らさないように内股小走りで共同便所へ向かった。 便所に飛び込み、引き戸を閉めた。 さすがに、これは恐い。 裸電球の明かりは揺れ、壁はシミだらけでシミと木目は人の顔の様に見える。 管理所のオヤジが言っていた事をUは思い出し、和式の便器をにらむ。 しかし、Uにはもう余裕がない。 一気にジャージとパンツを膝まで下ろし、膀胱に貯まっていた尿を排泄した。
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