馬桜の日常

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「行くぞ。」 馬桜が呟くように言った、その瞬間―――二人の目の前から馬桜が消えた。 「! いったいどこ…――っ!」 いつの間にか趙訝の身体が宙に浮き上がっていた。 「なっ、趙…うわ!?」 宙を舞い落ちる趙訝を見ようとすると、突如として手戟の刃が飛んできた。 「よそ見をするな。」 恐ろしい速さで目の前に現れた馬桜に動揺しながら、何とか手戟を受け止める。 「く…速い!」 ふと高堅は馬桜の顔を見上げる。 目は紅く、殺意の籠ったまなざし。 そして彼は不気味に笑っていた。 ――この人…本気だ…―― 高堅は生まれて初めて戦いに対する『恐怖』を感じた。 馬桜は続けてすくい上げるような一撃を放つ。 辛うじて受け止めた高堅だが、あまりの攻撃に態勢を崩した。 「おらよっ!」 「ぐぁあ!」 手戟の柄が高堅の腹に入った。 高堅は吹き飛び、地面に叩き付けられた。
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