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「やれやれ…、てこずらせやがって。」
構えを解くと目の色は元に戻り、いつもと変わりない馬桜になった。
「ゲホッ…さすがですよ。ここまで飛ばされるとは思いませんでした。」
高堅はせき込みながら身体についた土を払い起き上がった。
馬桜は彼に歩み寄る。
「これでも手加減したぜ。趙訝の方もな。」
彼の指差す先には、槍を杖代わりに立つ趙訝がいた。
「手加減って…手戟の柄[ツカ]で鎧にめり込むまで殴る人が良く言いますよ。
おかげで胸当てが…ほら、この通り。」
見せびらかした胸当ては、みぞおち辺りにひびが入り、もはや使いものになりそうになかった。
あの時何が起こったかと言うと…
馬桜は超人的な速さで間合いを詰めた後、手戟の柄で思いっきり趙訝を殴り宙へ飛ばしたのだ。
馬桜のすばやさ・力には驚かされるが、その一瞬で起こった出来事がしっかり見えていた趙訝にもまた驚きだ。
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