馬桜の日常

16/19
前へ
/161ページ
次へ
「はっはは! すまんな。 それより……」 急に馬桜が真剣な顔になる。 「? 何ですか?」 「その、なんだ…… あー…おれの腹心[フクシン]になってくれ。」 二人は驚いた。 いきなりただの一兵卒に自分の腹心、つまり自分の直属の部下になれと言うのだ。 驚かないほうがおかしい。 「いきなり腹心…ですか。いったい何故?」 趙訝が戸惑いながら問う。 「お前らは一時的にとは言え、おれを追い詰めた。 そんな奴、今までで父上か昔会った奴しかいない。そんな奴を一兵卒に留めておくのは勿体ない。 それに、お前らはまだまだ強くなれる。おれはお前らをこの手で育ててみたい。 それだけだ。」 馬桜は笑顔でそう答えた。 目は澄んで、真直ぐな気持ちが感じられた。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

156人が本棚に入れています
本棚に追加