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「ほーぉ、お前ら。全員訓練をサボって見物してたのか?」
馬桜だ。
彼は満面の笑み(目は全く笑っていない)で拳をパキポキ鳴らし、見物している兵士を睨んだ。良く見れば青筋も立っている。
「あ、いや…そのぅ…。」
兵士たちの顔は引きつり、しどろもどろに答える。
座っていた兵士もいつの間にか、しゃっと立って身を(あらゆる恐怖で)震わせていた。
「テメェら全員、城の周り十周だ!! とっとと行かねぇと斬り刻むぞ!!」
「「「は、はいぃぃ!!」」」
馬桜の怒声で兵士たちは蜘蛛の子を散らすように去った。
もちろん城の周りを走りに。
「ったく…じゃあ二人とも、後で軍議室に来い。父上たちにも紹介するからな。」
「はい、分かりました。」
二人の返事を確認した馬桜は何処かへ歩いて行った。
彼が去った後、二人は呟いていた。
「皆かわいそう…。」
「…冥福を祈る。」
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