四十路たちの日常

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楊諮の言葉を聞き、馬景は大いに笑った。 「はっははは! 本当の親の前で言うとはな、楊諮よ。」 「ハッ!? 申し訳ございません。つい熱くなってしまって……。」 楊諮が申し訳無さそうに頭を掻きながら謝る姿を見て、一同は大笑いした。 「はっは。 しかし本当に、息子たちも大きくなった…。 死んだ弟が馬発を見たら驚くだろうな。」 急にしんみりと語り出す馬景。 「馬脩[バシュウ]様ですか…。 もし生きておられたら、わしと同い年ですな…。」 袁涯は窓の外、大空を眺めながらしみじみと言う。 彼の言う馬脩とは、馬景の弟で馬発の父に当たる人である。 馬景が西涼大守になって間もない頃、国境で異民族の羌族との大戦[オオイクサ]が起こった。 馬景と馬脩は圧倒的劣勢の中これを見事に撃退し、以後羌族とは対等な同盟を結ぶほどの信頼関係を築いた。 しかし馬脩は戦の前に病を患い、無理をして出陣したため病が悪化。 彼は西涼へ戻って間も無く息を引き取った。
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