156人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
楊諮の言葉を聞き、馬景は大いに笑った。
「はっははは! 本当の親の前で言うとはな、楊諮よ。」
「ハッ!? 申し訳ございません。つい熱くなってしまって……。」
楊諮が申し訳無さそうに頭を掻きながら謝る姿を見て、一同は大笑いした。
「はっは。
しかし本当に、息子たちも大きくなった…。
死んだ弟が馬発を見たら驚くだろうな。」
急にしんみりと語り出す馬景。
「馬脩[バシュウ]様ですか…。
もし生きておられたら、わしと同い年ですな…。」
袁涯は窓の外、大空を眺めながらしみじみと言う。
彼の言う馬脩とは、馬景の弟で馬発の父に当たる人である。
馬景が西涼大守になって間もない頃、国境で異民族の羌族との大戦[オオイクサ]が起こった。
馬景と馬脩は圧倒的劣勢の中これを見事に撃退し、以後羌族とは対等な同盟を結ぶほどの信頼関係を築いた。
しかし馬脩は戦の前に病を患い、無理をして出陣したため病が悪化。
彼は西涼へ戻って間も無く息を引き取った。
最初のコメントを投稿しよう!