馬理の日常

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―――馬理の研究室兼自室 ここは城の東側に離れて建つ塔、研究室を兼ねた馬理の部屋である。 何故馬理の部屋だけ城の中に無いのか? それは、以前まだ彼の部屋が城の内部にあった頃、彼が行った実験が失敗して小火[ボヤ]騒ぎが起こり、上へ下への大騒動となったからだ。 「どんな実験をしたんだよっ」と言いたい所だが、そこはあえて触れないでおこう。 彼の研究の実験体にされてしまう。 さて、楽典は部屋の前に来て部屋の扉を叩いたのだが、いつまで経っても中から返事が返ってこなかった。 「おかしいな…。馬理様ー?」 返事を待つが、うんともすんとも言わない。 「うーん…。馬理様、入りますよー?」 楽典は一応断りを言って部屋に入った。 「いつ来ても広いなーこの部屋…。」 部屋はとても広く、だいたい百畳ほど。 しかし、その広すぎるほどの部屋の中には大量の、いや、もはや『大量』という言葉では表せられないほど、膨大な資料と実験器具が天井の板寸前まで積み上げられていた。
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