前編

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その拍子に、余りの玉で買ったチョコがポケットから落ち、不意に蹴ってしまい飛んでいった。 彼女はチョコが飛んだ先、ゴミと化した放置自転車の山陰にいた。 じーっとチョコを見ている彼女。危ない目つき。 髪はボサボサで、あちこち汚い。あからさまに、普通じゃない。まんま、浮浪者。 俺が見ているうちは、彼女は少しも動かなかった。 俺が彼女から視線を外すと、チョコを拾う気配がした。 面白がって、急に振り向く俺。 ビクッとする彼女。 捨て猫みたいで、面白かった。
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