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きっと死ぬ前に出せる最後の力なのだろう。この命を少年にたくすために。自分の命とひきかえに。
ただ「守りたいもの」のために
猫は走っていた。誰よりもなによりも力強く早く。そして自分の大切な人のために。
そのころ少年は病院にいた。肺炎だった。あの日に風邪をひきそしてその風邪をこじらせた。
少年はまだこどもだった。したがって体力もない。生と死のさかいめにいることは間違いない。
しかし少年の心を繋ぎ止めているものがあった。
少年もただ「守りたいもの」のために命の炎を燃やしていた…。
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