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「あぐり! こっちやで!」
私はもみくちゃになりながら、やっと改札を出たところだった。
同じホームから、溢れでるようにして降りてきた人々にのまれながら声の主を探した。
少しして、巨大な白い柱の前で私に向かってヒラヒラと手をふる笑顔の男を見つけた。
「あぐり!」
もう一度呼ばれて、やっぱりそれが迎えの人なのだと確信した。
見た目だけはものすごく冴えていたけど、正直、なんて馴れ馴れしい人だろうと思った。
私は彼が“彼”だということには、全く気づいていなかった。
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