君の一縷 

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彼はとにかく心臓に悪い人で、時々突拍子のないことを言ったり、そのきらきらした目で私を見つめたりする。 なんだか落ちつかない。   でも、やっぱり時々、魅力的だなんて思ってしまうのが癪だった。 だんだんと日が暮れてきた。 年ごろ見慣れた山に落ちていく夕日は、心なしか、東京で見るものよりも大きくて澄んで見える。
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