9人が本棚に入れています
本棚に追加
立ち話するわけにもいかないし、すぐホテルに行くってのもアレだから先にご飯食べに行こうか。
さりげなく肩を抱きながらそう言って、オジサマ――康司さんと私はお手軽なファミレスに入った。
小さな鏡に映る自分の姿を見て、なんとなく笑いが込み上げてくる。
ああ、今クラスメートに会っても多分気付かれないだろうなってくらい、『大人の女』がそこにいる。
茶髪で目付きの悪いお兄さんに半笑いの瞳で見られて、少しだけ、優越感。
「なんでも食べていいよ。って言っても、最近の女の子はあんまり食べないよね」
「そうですね。やっぱり、カロリーとか気にしちゃうかも」
そういえば私、3ヶ月前にも同じこと言ってた気がする。
あの時は買ったばかりのジーパンが少しキツくなって焦っていたけど、あのジーパンどこにしまったんだろう。
「ゆっくり考えてていいよ。あ、先にドリンクバーだけ頼んでおこうか」
手慣れた感じでドリンクバーを注文する康司さんを見て、私は少し安心した。
ずっと前から、もし援交をするなら、初めては経験豊富な人がいいなって思ってた。
失敗されると困るしね。色々と。
最初のコメントを投稿しよう!