プロローグ

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 立ち話するわけにもいかないし、すぐホテルに行くってのもアレだから先にご飯食べに行こうか。  さりげなく肩を抱きながらそう言って、オジサマ――康司さんと私はお手軽なファミレスに入った。  小さな鏡に映る自分の姿を見て、なんとなく笑いが込み上げてくる。  ああ、今クラスメートに会っても多分気付かれないだろうなってくらい、『大人の女』がそこにいる。  茶髪で目付きの悪いお兄さんに半笑いの瞳で見られて、少しだけ、優越感。 「なんでも食べていいよ。って言っても、最近の女の子はあんまり食べないよね」 「そうですね。やっぱり、カロリーとか気にしちゃうかも」  そういえば私、3ヶ月前にも同じこと言ってた気がする。  あの時は買ったばかりのジーパンが少しキツくなって焦っていたけど、あのジーパンどこにしまったんだろう。 「ゆっくり考えてていいよ。あ、先にドリンクバーだけ頼んでおこうか」  手慣れた感じでドリンクバーを注文する康司さんを見て、私は少し安心した。  ずっと前から、もし援交をするなら、初めては経験豊富な人がいいなって思ってた。  失敗されると困るしね。色々と。
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