序章

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  瑞原公輝が、殺された。  俺は、特殊サイレンサーを付けたベレッタを彼の左胸に押し付けた刹那、引き金を引いた。  人間混雑のなか、音を聞いたのはほんの数人のみらしく、すぐには騒がれなかった。  午後8時の新宿駅構内は次第に野次馬が集まり出し、ドーナツ化現象となった。  救急車が駆け付けたが、彼はとっくに18年と24日の人生に幕を閉じ、硬直へ向かっていた。  俺は、この少年から彼女を救った、と確信した。
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