347人が本棚に入れています
本棚に追加
「さ~あ、京香。声は大丈夫か・・・・っておい!なんだその顔はっ?」
駐車場にこだまする怒鳴り声。
主はそう、我らがリーダー、岳。
「どうもずみまぜんでじだ・・・。」
泣き腫らした顔で悪態をつく不細工な京香。
昨日健太と別れた後、家で1人泣いてしまった。
その結果、顔と声に現れていた。
「おーまーえー!ボーカルやる気あんのかっ?あぁ?」
そう言って京香の両頬を抓り上げる。
「いひゃい!ひゃなひて!」
(訳:痛い!離して!)
涙目になりながらも必死に訴える京香。
「でもよ~、マジでやばいっしょ?一応俺達の卒業ライブなんだし?」
「もうちょっと気をつかってくれよな。」
ついにはあ~あ、と厭きれてしまう淳と一輝。
「そんな言い方しなくたっていいじゃない・・・。」
元々弱っていた京香の心に皆の言葉がズッシリと響いた。
悪いのは紛れもなく、京香。
でも、ここぞというところで素直になれないのも京香。
「・・・もう・・・辞める。何もかも、辞めてやるっ!」
色々溜まっていたものが一気に溢れた。
目に涙をためてキッと皆を睨む。
急にキレた京香に唖然とする一同。
「皆っ!言いすぎだよ。京ちゃんも、辞めるなんて言わないでよ・・・」
心配そうに言うエリカに少し罪悪感を感じつつも、自分のつまらない意地が邪魔をして無言で俯く。
「・・・じゃあ辞めちまえよ。」
そう言って京香の前に立ちはだかったのは、岳。
「お前みたいに自己中なヤツ、もう付き合いきれん。」
その言葉が京香の心に突き刺さった。
「そんな事っ!」
「おい、岳。言いすぎだよ。」
揉める2人の間に皆が入ってこようとする。
その時。
ガシャーーーーーーン
.
最初のコメントを投稿しよう!