生と死の間

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そこには店長と呼ばれた人物がバケツを持って立っていた。 「なんだ、折角水汲んできたのに。」 「・・・その水、何に使うんです?」 「そりゃお前、起きねえ奴起こす時の相場は大体水ぶっ掛けるって決まってんだろ。」 「いや、決まってないですから。」 この“店長”と呼ばれた人物。 京香が高校生のときに働いていたバイト先の店長。川名順也(かわなじゅんや)、36歳独身。 「・・・なんで店長がここにいるんですか?勝手に人ん家入ってきて。不法侵入で訴えますよ?」 至極機嫌が悪そうに言う京香。 理由はただ一つ。 店長のことが嫌いなのだ。 仕事の内容で色々口うるさい彼と、意地っ張りで頑固な京香はよく小さいことでぶつかっていた。 「何~が不法侵入なんだ。どっちかっていうとお前のが不法侵入だぞ?」 .
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