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「ついでに言っておくが、俺は本当はお前の知っている店長ではない。」
「どっからどう見ても私の知っている店長ですけど。」
このオッサン、何が言いたいの?
京香の苛々は募る一方。
「俺は生と死の間の世界
の使者。この世界では結構お偉いさんなんだ。ここに迷い込んだ奴のナビゲーション役を務めてる。そしてここに迷い込んだ奴の生前、一番嫌いだった奴の姿を借りて話し掛けている、というわけだ。」
ふあ~と欠伸をしながら至極面倒くさそうに話す。
「じゃあ・・・私は死んだの?」
自分の口から出た“死”という言葉に恐怖を覚えた。
そして何もかも思い出した。
「そうだ・・・あたし、みんなと駐車場にいて・・・喧嘩して・・・帰ろうとしたら急にフェンスが凄い音で壊れて・・・・トラックが突っ込んできた。」
ガクッと膝をつき震えだした自分の体を抱きしめた。
「大体はあってるが一つだけ、違うことがある。」
ピンと人差し指を立てて言う。
「お前はまだ、死んでいない。」
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