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「・・・え・・・・?」
「だから、まだ死んでない。」
いまだ震えのとまらない京香は膝をついたまま顔だけを店長に向ける。
「お前の仲間達もそうだ。今病院で意識不明の状態だ。」
「じゃあ、まだ助かる・・「そうとは限らない。」
京香の言葉を遮り、店長は続ける。
「今お前がいる生と死の間の世界は名の通り、生の世界にも死の世界にもどちらにも行ける。正確に言うと・・・どちらかにしかいけない。それを選択する権利は、お前にある。」
「じゃあ、生の世界に行きたい。」
「いいだろう。だが、タダでは行かせてやれねぇ。これがこの世界の掟だ。」
掟?
何のことだと首を傾げる京香を店長は鼻で笑う。
「生の世界に戻りたいなら、俺から出される試練を乗り越えなくてはいけない。もちろん死の世界に行くなら試練はない。」
「試練・・・・」
京香の頭の中はパニックだった。
どうしてこんなことになってしまったんだ、今までの自分の行動を呪った。
あたしがスランプになんかなってなければ駐車場で練習しなくて済んだのに、
それだけでなく皆を怒らせ、こんな事故にまで巻き込んでしまった。
全て・・・自分のせいだ・・・。
「皆は・・・皆はなんて言ってるんです?」
この世界に迷い込んでいるのはあたしだけではないはず。
皆は生きるための試練を選んだのだろうか?
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