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「言い忘れていたが、俺とこの話ができるのはお前だけだ。」
「・・・答えになってない。」
「だから、生きるか死ぬかの選択ができるのはお前だけだ。お前は仲間の中からその選択ができる人物に選ばれたんだ。」
喜べ、と京香の肩に手をポンと置く。
一方ちっとも嬉しくない京香。
「なんで・・・あたしが・・・」
「お前が一番、弱そうだったから。」
店長はフッと暗い笑みを漏らした。
「こっちも生かそうとするにはやはりそれだけ難しいこととかしなきゃなんねんだよ。要するに面倒くさいんだよ。だから試練も相当な無理難題を叩きつける。生きるってことは簡単なもんじゃねぇ。」
「無理・・難題・・・」
その言葉を聞いて絶望した。
この人・・・簡単には生の世界に帰してくれない、そのつもりなんだ。
正直、死んでもいいと思ったことも今まで生きてきて何回かあった。
両親のことも…考えずにすむならいっそ……
今回ももし1人だったら……あたしは死を選んだかもしれない。
「・・・で、どうすんだ?そろそろ決めないと上に怒られちまう。」
と腕につけた時計らしきものを見ながらため息をつく。
「試練って・・・難しいんですか?」
藁にも縋る気持ちで聞いてみる。
「ああ、だが試練を乗り越えられる可能性はゼロじゃない。お前らの頑張り次第でどうにでもなる。俺達だって悪魔じゃあねぇんだから。」
いいから早く決めろ、と急かす店長を無視し考え込む京香。
―――京ちゃん。がんばろう?
―――京香、お前ががんばんねぇと俺がボーカルやっちまうぞ?
―――京香、熱あるんじゃない?
―――そんなんシャレになんねぇって!
でも今回はあたし1人じゃない。
あたしはまだ、
―――京ちゃん、一緒に東京行こう?
まだこんなところでは死ねない!
大好きな人たちに会うために・・・
絶対生きて帰る!!
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