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―――川のせせらぎの音がする・・・
「う・・・ん・・・」
ここは・・・どこ?
目に入ってきた景色は全く見に覚えの無い場所。
上半身を起こし、不意に横を見る。
「・・・エリカっ?」
横で倒れていたエリカに気付きガクガクと揺する。
「・・・んっ?ここは・・?」
「よかったぁ!気がついた!」
京香は目に薄っすらと涙を溜めてエリカを抱きしめた。
「イタタ・・・痛いよ京ちゃん。」
ごめんごめん、と慌ててエリカを離す。
「無事でよかった。」
「あれ・・・ここどこ・・・?私達・・・どうしてここに?」
そうまで言った瞬間エリカの顔が青ざめた。
事故のことを思い出したようだ。
「・・・ああ・・・私・・・トラックが突っ込んでくるところが見えて・・・それで・・・」
ガクガクと震えだすエリカを京香はそっと抱きしめる。
「大丈夫だから。」
そう言って先ほどの“店長”とのやり取りを最初から最後まで話した。
「じゃあ・・・私達はタイムスリップしちゃったってわけ?」
「しかも厄介な“試練”つきでね。」
2人揃ってため息をついた。
「とにかく、やるしかない!まずは“壬生浪士組”を探さなきゃ。」
「・・・何なの?そのみぶ・・・ナントカ組ってのは。」
「あたしもさ、高校のとき世界史選択だったからわかんないんだけど、なんかの団体であることは間違いないよ。店長曰く、砂漠派・・・がどうのって・・・?」
「佐幕派・・・幕府側ってことね。歴史的には負ける方じゃない・・・。でもみぶナントカなんて教科書にでてきたかなぁ・・・。」
エリカは日本史選択だったため京香よりは多少知識があった。
だがその“壬生浪士組”とやらには聞き覚えが無いらしい。
「・・・とにかく。探そう。人に聞いてみるのが早いよ。」
そう言って2人は立ち上がった。
生きて帰るために。
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