目覚めたら、幕末

2/8
前へ
/83ページ
次へ
―――川のせせらぎの音がする・・・ 「う・・・ん・・・」 ここは・・・どこ? 目に入ってきた景色は全く見に覚えの無い場所。 上半身を起こし、不意に横を見る。 「・・・エリカっ?」 横で倒れていたエリカに気付きガクガクと揺する。 「・・・んっ?ここは・・?」 「よかったぁ!気がついた!」 京香は目に薄っすらと涙を溜めてエリカを抱きしめた。 「イタタ・・・痛いよ京ちゃん。」 ごめんごめん、と慌ててエリカを離す。 「無事でよかった。」 「あれ・・・ここどこ・・・?私達・・・どうしてここに?」 そうまで言った瞬間エリカの顔が青ざめた。 事故のことを思い出したようだ。 「・・・ああ・・・私・・・トラックが突っ込んでくるところが見えて・・・それで・・・」 ガクガクと震えだすエリカを京香はそっと抱きしめる。 「大丈夫だから。」 そう言って先ほどの“店長”とのやり取りを最初から最後まで話した。 「じゃあ・・・私達はタイムスリップしちゃったってわけ?」 「しかも厄介な“試練”つきでね。」 2人揃ってため息をついた。 「とにかく、やるしかない!まずは“壬生浪士組”を探さなきゃ。」 「・・・何なの?そのみぶ・・・ナントカ組ってのは。」 「あたしもさ、高校のとき世界史選択だったからわかんないんだけど、なんかの団体であることは間違いないよ。店長曰く、砂漠派・・・がどうのって・・・?」 「佐幕派・・・幕府側ってことね。歴史的には負ける方じゃない・・・。でもみぶナントカなんて教科書にでてきたかなぁ・・・。」 エリカは日本史選択だったため京香よりは多少知識があった。 だがその“壬生浪士組”とやらには聞き覚えが無いらしい。 「・・・とにかく。探そう。人に聞いてみるのが早いよ。」 そう言って2人は立ち上がった。 生きて帰るために。 .
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

347人が本棚に入れています
本棚に追加