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ふと足元に目をやると、風呂敷2つをみつける。
「何かある。」
京香は風呂敷を持ち上げ、おもむろに中身を取り出す。
「・・・着物・・・?」
中にあったのは淡い桃色の着物と淡い薄緑色の着物だった。
両方とも無地で質素なものだった。
「これを着ろってことかな。」
「・・・そうだね。本当にここが“幕末”であるなら、私達の今の格好はまずい。」
この時代にジーパンやTシャツなんてものは存在しない。
「着替えよう。高校生のとき習った着付けの授業がこんなとこで役立つなんてね。」
ハハっと苦笑いを浮かべ2人は着替えた。
エリカは京香より性格も女の子らしいということで桃色の着物を着た。
「エリカ、似合ってるじゃん。」
桃色はエリカにとてもよく似合う。
「京ちゃんも似合ってるよ。」
爽やかな薄緑の着物を纏った京香はいつもより大人びてみえた。
余談だが、2人は高校時代1位2位を争うモテっぷりだった。
2人はそんなこと気にもしていなかったが。
着物を纏い、自分が現代から着てきた洋服を風呂敷にしまい、
京香はアコースティックギターを背負い“壬生浪士組”へと歩を進めた。
この時、ある重大なことを忘れていることに2人はまだ気付いていなかった。
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