きっかけは、事故

4/11
347人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
駐車場を後にし、部室についた京香達は、いつものように他愛のない話を、ダラダラ皆と喋っていた。これが日課なのだった。 その時不意に京香の携帯が鳴った。 いそいそと携帯のディスプレイを見て内容の確認をし、少しだけ頬が緩む。 「あ、私帰るわ。」 そう言って部室を後にしようとする京香。 「なんだ~京。例のケンくんか?」 淳が京香を冷やかすように言う。 「そうだけど?」 クールを装うも至極ご機嫌で返事をする京香。 彼の冷やかしなど全く効いていないようだった。 「お前、男に現を抜かしている場合か。本番は明後日なんだぞ?」 口を挟んできた岳は京香とは逆に、至極機嫌が悪そうであった。 「まあまあ、そう焦んなくても。 京ちゃん。ライブのことは忘れて今日はケンちゃんに甘えておいで?」 エリカは優しく微笑むとそっと京香の背中を押してくれた。 「エリカ、ありがとう。岳も、ちゃんと声も何とかして来るから。じゃあまた明日。」 そう言って京香は部室を後にした。 .
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!