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駐車場を後にし、部室についた京香達は、いつものように他愛のない話を、ダラダラ皆と喋っていた。これが日課なのだった。
その時不意に京香の携帯が鳴った。
いそいそと携帯のディスプレイを見て内容の確認をし、少しだけ頬が緩む。
「あ、私帰るわ。」
そう言って部室を後にしようとする京香。
「なんだ~京。例のケンくんか?」
淳が京香を冷やかすように言う。
「そうだけど?」
クールを装うも至極ご機嫌で返事をする京香。
彼の冷やかしなど全く効いていないようだった。
「お前、男に現を抜かしている場合か。本番は明後日なんだぞ?」
口を挟んできた岳は京香とは逆に、至極機嫌が悪そうであった。
「まあまあ、そう焦んなくても。
京ちゃん。ライブのことは忘れて今日はケンちゃんに甘えておいで?」
エリカは優しく微笑むとそっと京香の背中を押してくれた。
「エリカ、ありがとう。岳も、ちゃんと声も何とかして来るから。じゃあまた明日。」
そう言って京香は部室を後にした。
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