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グラウンドに舞う紙吹雪。
球場をつんざく、溢れんばかりの歓声。
観客一人一人の動きは波の様に伝わり、地鳴りを引き起こしている。
「やったな!!」
「さすがだぜ、おまえ!!!」
「ヒーローだぁ!!!」
「やったでやんすぅ!!!」
「おまえがホントのミスターパワフルズだ!!!」
ホームベースでは仲間達が俺を出迎えてくれた。口々に、祝福ややっかみを浴びせられる。
そして栄光を手にしたチームの恒例…胴上げが始まった。最初はやはり我等がパワフルズ橋森監督。…そして次は、やっぱり俺。
「ちょっ、、みんな…待…」
「ワーッショイ!!!ワーッショイ!!!」
幸福、…最高。人生でこの上ない喜びだった。何もかもが絶頂期だった。気分もまさに絶頂期だった。今までの苦しみに苦しんだ日々が嘘の様に。
…俺は知らなかった、それがすでに、引き金であったことを。
夏熱い日々の終わりを告げる、10月某日。
この日パワフルズは数十年ぶりの快挙……日本一を成し遂げた。
決まり手は日本シリーズ最終戦、9回裏に飛び出した、3番打者波輪の劇的なサヨナラツーランだった。
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