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冷蔵庫から取り出すのはキンキンに冷えた缶ビール。まだ水気を帯びる少し伸びた髪の毛をタオルで拭きながら、部屋の電気をつけた
『ぱぁ!!』
電気が光ると同時に聞こえたその声
『さっき飲んだのに、また飲むの~?体に体に悪い悪い!』
歌うように響くその声は、間違いなく空耳じゃない。
本当に幼い声で、まだ言葉を覚えて間もないような口調だ。
自分の部屋なのに、怖くなる。あたりをキョロキョロ見回してみるが、そこにあるのはいつもと同じ自分の部屋。
そんな自分がバカらしいが、今はそんなことを考えている余裕などない
しかし、その声の主を新吾の視線が捕らえる前に、また主は歌うように声をだす
『キョロキョロ、キョロキョロ、キョロロロ~』
『は?』
ようやく見つけた“それ”は、新吾が1人暮らしを始めてから買った小さなテーブルの上にいた。
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