魔法の時間

会社員 (27)

ガチャン!……コロコロ

そのちっこいのは、クルクルと俺のテーブルの上を回っているうちに、そこに置いてあった俺のいつかの飲みかけのビール缶にぶつかって、中身をこぼした。

その音で、俺はやっと我を取り戻した。見るとテーブルの下に敷いてあったじゅうたんに、しっかりとビールをこぼしてくれていた。

俺は、急いで流しから布巾取ってくると、じゅうたんに染み付こうとしているビールを拭き取った。

その間、コイツはテーブルにちょこんと座って、キョトンとして俺を見つめていた。

一通り拭き終わって、布巾を流しに戻してから、再び部屋に戻ると、そこにはビールの匂いが立ち込めてしまっていた。