捧げる祈りに癒しの光を

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 ウィルはますます申し訳なさそうに顔を歪める。左の頬に一筋光るものが見えたが、タツキは敢えてそこには言及しなかった。代わりにポケットに手を突っ込み、無造作に放り込んであったハンカチをその頬に押し当てる。 「あう」 「お前は兄貴として上出来だよ。オレを嫌ってる、なんて態度に出さなかったもんな。見かけより度胸あるじゃねえか。気に入ったよ」  かなり乱暴に涙を拭かれ、ウィルは何とか青年の手から逃れようとする。しかしさすがにそれは叶わなくて。よけいに感情が溢れてきてしまって。 「……ごめんなさい。偉そうだと思っててごめんなさい」 「間違っちゃいねえな。だってオレ様偉いから」  タツキらしい自信に満ち溢れた発言が出ても、ウィルは不機嫌な顔をしなかった。むしろ、俯いた喉の奥でクスクスと笑いを漏らしている。気を張っていた彼が初めて見せた、少年らしい笑顔だった。  不意にタツキがウィルの頬から手を離し、このような事を告げる。 「オレ、お前によく似た奴を知ってんだ。お前みたく、見かけは真面目だけど度胸は一人前な奴をさ――。お前もきっと大物になるぜ。今のあいつみてえに」 「え……それ、誰?」
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