捧げる祈りに癒しの光を

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「はは……」  バートが乾いた笑いを漏らす。自分の不甲斐なさに呆れかえっているかのような自嘲の笑み。シェリーは彼の肩から指を離し、その顔を覗き込む。 「俺、ホント駄目だ。この期に及んで怖くてしょうがないんだよ。笑っていいよ……レオンさんなら、兄貴なら、フローラちゃんだってきっと、迷わず飛び込んでいけるのにね」  シェリーはふるふると首を横に振る。 「誰もが勇敢な訳ではありませんから……。むしろ迷わず飛び込んでいける方のほうが少ないと思いますよ。人には向き不向きというものがありますし、お気になさらないでください。怖いのでしたら私が行って参ります」 「え」  バートの返事を待たずに一礼したシェリーは、周りをきょろきょろと見回してから、ゆっくり歩き始めた。両手を胸の前で組んで、控えめにおずおずと歩く姿はひたすらに愛らしい印象だったが、それとは裏腹に迷わず前線に出た勇気ある背中を羨望の眼差しで見送るバート。  当のシェリーは落ち着いた足取りで騒ぎの中心まで歩み寄っていく。どうやら村民達は二つのグループに分かれて争っているらしい。双方の人数が多いあたり、領土争いという訳でもなさそうだ。
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