捧げる祈りに癒しの光を

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「まあ、その、お二方。落ち着きましょう。特に無関係の女の子に手出すのは、あんまり良くないですから」  ははは、という乾いた情けない笑みと冷や汗。片手で頭の後ろをかく姿はお世辞にも頼りになりそうには見えないものの、勇気を振り絞って出てきたであろうバートに、シェリーは優しい笑みを向ける。  男はわざとらしく舌打ちをすると、足元にあった小石を蹴り飛ばした。すると今度は甲高い声の女が憮然とした表情で用件を尋ねてくる。 「で? あなた達何なの。手短に済ませてよね」  手短に。そう注文はされたものの、シェリーとバートは互いに重要な事を把握していなかったため、困ったように顔を見合わせる。とりあえず、と前置きしてから、まずはシェリーが口を開いた。 「その……落ち着いて、ください。まず、争いの原因は、何なのでしょうか?」 「はぁ!? バカにしてんの!? そんな事も分からずに落ち着けですって!?」 「お怒りはごもっともですが、私たち内容まで盗み聞きしていた訳ではないので……」  せめて、お話だけでも聞かせて頂ければ幸いなのですが。シェリーはそこまで繋げ、了承を求めるかのように小首を傾げる。
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