捧げる祈りに癒しの光を

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 一同、沈黙。  ウィルは指で頬をかき、フィルは視線をくるくると泳がせ。タツキでさえも乾いた笑いを漏らしている。  バートとシェリーは一斉に目が点になり、思わず顔を見合わせる。何度かそれを繰り返した後、先に疑問を発したのはバート。 「えぇえぇえ、何それ意味わかんない! 話的に繋がらないでしょ! いやわかるよ、ありがたい事なのはわかる! でも、待って、なんで!?」 「だーっ、落ち着け! 男の顔のドアップとか見たかねえよ! しょっぱいから!」  バートが真っ先に詰め寄ったのがタツキだったためにそんな暴言を吐かれ、突き放され、しかしそれでもバートは納得出来ないご様子で。タツキはやれやれだぜ、と口の中で不機嫌そうに呟いた。 「詳細は知らねえ。とにかくこいつらのじいちゃん、もとい村長さんは今ピンピンしてる。姉ちゃんも目を覚ました、めでたしめでたし――それが現実なんだ」 「都合良すぎるでしょ……。普通ものごとには理由があるもんだよ」  ぶつぶつと文句を繰り返すバート。彼をなだめたタツキも、まあ確かに気にはなるけどさ、と直後に同意する。 「後でフローラちゃん達に聞いてみようぜ?」
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