辿り着いた、その先に

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「ちょ、リュウ君何すんの! マジ血迷いすぎでしょ、昨日酒でも飲み過ぎた?」 「アンナ……お前も変わらず、心配症で」 「はあ!? 俺バートだよ。性別くらいは判ってほしいな! ていうか、リュウ君どうしたの、何その満面の笑み。怖い、マジ怖いって!」  バートは顔を真っ青にしながら、必死にシリウスの手を振り解こうとしている。その様子のおかしさと、胸にこみ上げる懐かしさとが入り混じって、タツキはなかなか詳細を口に出来なかった。それはおそらく、シリウスも同じだろうと思う。  そんな彼の心を察したのか、レオンが自ら動き、ティナとバートに事の成り行きを説明してくれた。それでようやく、二人とも得心した顔になる。 「リュウ君の身体はしてるけど、中身はシリウスさんって訳か。いやー、まさか俺の前世がレオンさんとシェリーさんの娘かつ、ティナの妹だったとはね。変な感じだなあ」 「あたしも面倒な妹を持ったもんよね。じゃあきっと、今のあたしの面倒見の良さは、前世から来てるんだ! あんたのヘタレ具合もきっと前世譲りよ」 「そりゃないよティナさん。俺だって今回は結構頑張ったろー?」  目に見えて肩を落とすバートを見ると、シリウスは懐かしそうに目を細めた。
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