辿り着いた、その先に

200/221
前へ
/848ページ
次へ
 次いで、タツキの背後にあった扉が僅かに動く。扉が背中を押すので、タツキが場所をどけると、僅かに開いた隙間から、フローラがひょっこりと顔を出した。  それを見たシリウスは、またリュウの顔で表情を綻ばせる。フローラは最初こそ驚いた顔をしていたが、すぐに状況を把握し、扉からゆっくりと出てきた。 「……マリア」 「シリウスさんなんですね。良かった、リュウ君には何も悪さをしてないみたいで」 「しようにも出来そうにないよ。竜の力というものは、想像を絶するらしい。今の俺にはちょうどいいかもしれないな」  フローラは微笑むと、タツキを向き、ツカサの治癒を終えた事を伝えてきた。 「今、ぐっすり眠ってるよ。しばらくいろんな事が続いたから、疲れちゃったのかもしれないね。今、中でクリアさんが見ててくれてるの」 「クリアが? さっきあの顔にさらわれたばっかだけど」 「わたしもそう思って止めたんだよ。わたしが残るから大丈夫ですよって言ったの。でもクリアさん、私なら大丈夫だから、って言って譲らなくて……」 「マジかよ。ったく、しょうがねえ奴だな……」  タツキはズボンのポケットに両手を突っ込み、舌打ちをした。
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!

350人が本棚に入れています
本棚に追加