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だから気になってねえし――つい小さな意地を張ってしまった彼の肩は、後ろからさらに勢い良く殴られた。普通に肩を叩いただけのレオンとは比べ物にならない強さだった。
タツキは前に少しよろけつつ、思いきり不機嫌そうな顔を作って振り返る。そこにはティナがいた。彼を殴ったばかりの手を腰にあて、じっと彼を睨み付けている。彼女はもう片方の手の人差し指をタツキに向けながら畳みかけてきた。
「あんた、どんだけみみっちい男なのよ! さっき教えてあげたばっかりでしょ、さっさと行ってやんなさいよ! じゃないと蹴っ飛ばすわよ。あんたの足の一本や二本、かるーく折っちゃうんだからね。解ってんの?」
「何それ超怖え。おいバート、こいつをあんまり怒らせんなよ。お前の足の一本や二本、かるーく折っちゃうらしいぜ」
「なんで俺!? 兄貴の話だろ、俺は大丈夫だよ」
「ホントかよ? お前、さっき早速ぶん殴られてたじゃねえか」
「…………」
あからさまに肩を落とすバートを、フローラが慌てて慰める。それを横目で眺めつつ、今度はリュウが、タツキに声を掛けてきた。
「本当に行かないのか?」
タツキは答えず、ただ彼女の去った方へ歩いていった。
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