辿り着いた、その先に

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 クリアは泣いてはいたが、はしたなく声を上げる事はしなかった。出来る限り声を殺して、彼の胸に顔を埋めている。しばらくすると、彼女の声が涙に混じって聞こえてきた。鈴の震えるような声だった。 「ねえ……。私、今頭の中が真っ白よ。いろんな事が、信じられない。全部夢みたい。ねえ、私ね、金髪の人が好きな訳でも、偉そうな態度の人が好きな訳でもないのよ。それなのに、あなたにそんな事言われると、ドキドキしちゃうの」 「……まあ、あれだな。多分お前は、オレ様がそこら辺の男と違うって判るんだな。そこは褒めてやってもいいかもな」  急に声の調子を変えたタツキに、クリアは明るい笑い声を立てた。指で自分の涙を拭い、また彼の胸に寄りかかってくる。 「ふふ、変なの」 「何が?」 「そんな言い方されたらね、私だって普通はイライラしちゃうのよ。何様のつもりよって、思っちゃうの。でも、あなたは違う。あなたが言うと、この辺がこう、きゅうってなるの。あなたに訊きたかった事、たくさんあったはずなのに、何だかもう、何でもよくなっちゃう」  クリアは彼に寄りかかったまま、片手で自分の胸元を押さえる。そうしながら目を閉じて、小さな声で呟いた。 「……かっこよくって、ドキドキするの。大好きよ」
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