エピローグ

3/26
351人が本棚に入れています
本棚に追加
/848ページ
「俺、戦闘任務はほとんどやんないもん。半分飾りだよ。実際、ティナの方が俺より強いじゃん」 「ふふっ、まーね。あたしったら、入隊する前にあんたをボコボコにしちゃった事あるもんね」 「あーあ。ほんとに情けないよ、俺」  バートは本当に肩を落としていた。ティナはそれまでの笑顔を引っ込めると、両手を腰にあてて彼の顔を覗き込む。バートの気の弱いのは今に始まった事ではないと軽く見ていたが、どうやら彼は本気で落ち込んでいるようだった。 「ちょっと、ホントにどうしたのよ」  バートはちらりとティナを一瞥すると、返事をせずに歩き始めた。ティナもすぐさまそれに続く。  彼女が追い付いてくると、バートはひどく頼りない声を出した。 「今日、雪国で祭典があるだろ」 「あるわね」 「だから俺、妹とさ、一緒に祭典に行く約束をしたんだ」 「へえ、いいじゃない。で?」 「だけど今日は、久しぶりに兄貴が現場復帰する日でもあるだろ。やっぱ祭典どころじゃないよね。一番隊にとって、兄貴は神様みたいなもんだし、せっかくの現場復帰の日に私情で休む訳にもいかないよ。でも、兄貴の現場復帰が決まったのも今日だからさ……いきなりドタキャンするだなんて、メルになんて説明したらいいか」
/848ページ

最初のコメントを投稿しよう!