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「ん?なにやら言いづらいことなのか?」
お姉さんはそう言いながら僕のことを見続けていた。僕は内心困っていたが、とりあえずなにかを喋らなければいけないと思い、口を開いた。
「いえ、特にそう言うわけでは無いんですが……物を貰ってもあまり使い道が無いと言うか」
そう言った瞬間、僕の身体はなぜか再び天井に向かって仰向けになっていた。それも床にではない。なにかに担がれているような感じだ。
「またこの坊主は失礼なことを!」
「痛い!痛いから離して!」
「断じて離さん!これは罰なのだ!」
僕は今、軍曹の頭で背中の部分を逆エビの状態にされているのだ。相当痛くて気を失いそうだよ……
「おい、軍曹。パワーボムはやめろ」
「そうだよ!危ないよ!」
「む……」
軍曹はそう言われて、僕を床に降ろしてくれた。そして僕はすぐに立ち上がった。あまり寝転がるのも失礼だったから。
僕が立ち上がるなり、再びお姉さんは僕に対して話し掛けてきた。
「で、事情を話してくれないか?もしかしたら力になってやれるかもしれん」
……本当にいい人たちの集まりなんだな、この家の人たちは。嬉しくて泣きそうだ……
そんなことを思いながら、僕はこの人たちを信用して全て話すことにした。僕のこの街に来た経緯も、家が無いことも。
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