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「……と言うわけです」
僕は全てを話し終えると、一度息をついた。そして3人の方を見た瞬間に僕は驚いた。
なぜなら、軍曹はなにやらうんうんと頷いているし、お姉さんは悩んでいるようで、更には麗さんはなぜか泣いていたのだから。
「あの……」
「ん、ああ。すまなかったな。考え事をしていて」
「いえ、大丈夫です」
このときの僕は、まさかこの後にあんなことが起きるなんて予想も付かなかった。と言うか、今でも本当に良かったのかと思っているくらいだよ。
まあその事は置いておくとして、話を続けることにするよ。
しばらく沈黙が続いた後、お姉さんがゆっくりと口を開いた。
「もしお前が良かったらだ。私たちの家で働かないか?もちろん住み込みで、さらに食事付きだ」
お姉さんがそう言うと、他の2人も頷いていた。
僕は一瞬何を言われているのか分からなかった。こんなに良い条件で雇ってくれると言うのが信じられなかったし、なにより大河内家の皆さんの優しさに驚いたんだ。
僕が驚きのあまり声を出せずにいると、再びお姉さんが僕に話し掛けてきた。
「何か問題でもあるのか?なら別なことにするが……
「いえ、よろしくお願いします!」
急に僕の態度が変わったのに驚いたのか、お姉さんは少しビクッとしていた。
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