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だけど、僕はそんな少女の頼みを断ることが出来なかった。
「分かりました。僕なんかでいいならいくらでも御手伝いします」
「本当!?ありがとう!」
少女はそう言うと、僕に飛び付いてきた。
あれ? どのくらい人の温もりを感じてなかっただろう?
すごい久々に感じたような気がする。
そんなことを考えながら、僕は少女から色々な情報を得た。
僕にしがみついたままの少女は、本当にアバウトな情報しかくれなかった。どっちの方向から来たとか、どのくらいの時間かかったかとか。
ただ……それだけでわかってしまうのが神崎クオリティなんだけど。身に付いたのはこれまでの生活のお陰だしね。
僕はその情報をもとに、少女の家があるであろう方に向かっていった。
そしてしばらく歩き続けると、少女が声を上げた。
「あっ!ここまで来たらもうわかるよ!」
「そうですか。それじゃあ僕は失礼します」
僕はそう言って、再び少女と出会った公園に向かおうとした。
すると少女は、僕の腕を掴んで離そうとしなかった。
「どうかしましたか?」
「あのね、お礼がしたいから家まで来て!」
少女は僕なんかのためにそう言ってくれていた。本当に久々の人の温もりだった。
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