プロローグ

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でも、僕は何故かそれを素直に受け取ろうとしなかった。多分なにかが恐かったんだと思う。 「いえ、当然のことをしたまでですから」 そう言って少女を引き離そうとしたが、少女の力が異常に強くて、僕は少女に力負けをしてしまった。 「ダメなの!それじゃあ大河内の方針に反するの!」 少女はそう言って、泣きそうな目で僕を見てきた。 そう言うのに弱い僕は、少女のためにも、少女の家に行くことにした。 別に僕自身が行きたかった訳じゃないからね!? 「それじゃあ、少しだけですよ?」 「うん!じゃあ行こっ!」 少女はそう言うと同時に僕の腕を引っ張っていた。なかなか力が強かったから、僕は転ばないようにするのに必死だった。 それからは、本当にあっという間だった。引っ張られていたからそう感じただけかもしれないけど……でも早く感じたのは事実なんだ。 「ここだよ!」 「ここ……ですか?」 少女が立ち止まったのは、恐らく敷地面積で考えれば東京ドーム5個分位はあるであろう大豪邸の前だった。 「さ、入って!」 少女はそう言うと、僕の腕を再び引っ張って、その大豪邸の敷地内に僕を連れ込んだ。
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