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「これはこれは!とんだ失礼なことを申し上げてしまいました!そう言うことならばお礼をしなければ!」
初老の男性は、そう言って僕のことを担ぎ上げた。僕はあまりに急なことだったので、抵抗もすることが出来ないまま、屋敷の中に連れていかれた。
「……」
「どうしたの?ほら、好きなだけ食べていいんだよ?」
少女は僕に対して不思議そうな表情をしながらそう言ってきた。
しかし僕は、緊張のあまり動くことが出来なかった。
なぜなら、今の僕は見たこともない料理を目の前にしているからだ。こんなものを食べていいのかがわからないんだ。
いや、食べられるのかどうかがわからないんだ。
更に部屋の広さにも驚かされていたんだ。こんなに広い部屋には入ったこともなかったから。
だけど……ここまでしてもらって食べないわけには行かない。そう思った僕は、覚悟を決めて一口料理を口の中に入れた。
「どうかな?美味しい?」
「あ……はい。とても美味しいです。こんなものをありがとうございます」
「ううん、助けてもらったお礼だもん!気が済むまで食べてね!」
少女はそう言って、僕が食事をしている姿を観察しているようだった。僕は恥ずかしかったけどそのまま食事を続けた。お腹が空いていたから。
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