土方さんの恋人

3/4
前へ
/4ページ
次へ
総悟が小さくなって数週間が経つ。皆にバレないよう、総悟は京へ出張へ行っているなど裏工作を色々したが山崎だけにはすぐに気付かれちまった。 山崎曰く、俺がポケットばかり気にしていたらしく、注意深く観察していたら小さな総悟が目に入ったんだとよ。 さすが監察というべきか…。取り敢えず、ムカついたからボコッておいた。 にしても、山崎にバレてからアイツは俺でなく山崎と一緒に居ることが多い。ムカつく…何で山崎。山崎のくせに…。とりあえず、また山崎をボコッてやろうと思う。 そして今日もアイツは山崎の部屋に入り浸っている。夜の見回りを終え、帰宅するなり俺は山崎の部屋へと足を向ける。もちろん、アイツを迎えに行くため。 「おい、総悟。部屋行くぞ」 襖を開け総悟に声を掛ける。 「しー。副長、声が大きいですよ。今、沖田さん眠っているんです」 何で山崎に注意されないといけねェんだ。ムカつき序でにガツンと頭を殴ってやった。少し胸がすっとした気がした。 「ん‥、土方さん?」 「わり、起こしちまったか?」 慌ててアイツに駆け寄る。某着せ替え人形よりちょっと小さめの総悟。本人はそれをちょっと気にしているらしい。本当可愛い奴。 そんな総悟を壊してしまわぬ様、そっと手の平を差出し総悟がその上に乗るのを待つ。 「よっと…土方さん、早く部屋に行きやしょ」 「あぁ、そうだな」 総悟が落ちないようゆっくり手を動かすと隊服のポケットそっと入れてやる。 「山崎、おやすみ。また明日な」 山崎に挨拶する総悟。それを見てモヤモヤする俺。その原因は嫉妬。総悟にだけは絶対にバレたくねぇ。バレたら格好悪いしよ。 山崎の部屋を後にすると俺の部屋へと向かう。 その際、ずっと無言だ。隊士達に感付かれないために。 部屋に着くと出しっぱなしの布団の上に総悟を降ろしてやる。 「はぁ…疲れた」 息を洩らしながらゴロリと横になった。もちろん、総悟を潰さないように細心の注意で。 「お疲れさま土方さん」 そういっていつもアイツは笑いかけ鼻頭に唇を寄せる。それが凄く可愛いく、愛しい。 「お休みなせェ。土方さん」 「あぁ、お休み」 コイツはどうして俺のツボを擽るのが上手いのだろうか?取りあえず、アイツが元に戻った暁には…。そう考えると口元が緩んで仕方がなかった。 、
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加