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「…さて、帰りましょうか。」
オルフは何の気なしにイズミを背負って歩き出した。後から鎖を持ったジャムが付いて来る。
「な…。降ろせ!自分で歩く!!」
ぽかぽかと頭を叩かれても、降ろす気配は更々ない。
「イズミはあまり無理をしない方がいいですから。」
その言葉で急に大人しくなった。叩く手を止めて、オルフの背に身を預けた。
(ぼく、また、何の役にも立たなかった…。)
あんなに頑張っているのに、大事な所でいつもいつも失敗して、みんなに迷惑ばかりかけて…。足手まといにしかなっていないじゃないか。
「…イズミは、戦闘には向いていないのかもしれませんね。」
「え?」
唐突に言われて、思わず声を出した。
「決定的な弱点がありますから。」
「弱点…?」
「優しいことです。」
イズミはふっと顔を上げた。まさか、オルフにそんなことを言われるなんて思っていなかったからだ。
「優しいから、無意識のうちに相手を傷つけることをためらい、恐れてしまうんです。実戦では、その優しさは命取りになってしまいます。」
「そ…それじゃあ…。ぼくはどうすれば…。」
「イズミには、イズミにしかできないことがありますよ。」
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