奪われたモノ

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 彼女は死んだ。  とは言っても、命を亡くしたわけではない。  心を亡くしてしまったのだ。  1つ年上のリサ姉。  相沢 里沙。  いつもくっついて歩いていた俺。  斉藤 孝史。  もちろん名字が違うということは、血の繋がった姉弟ではない。  近所で幼い頃から親しかった俺達。  成長していくにつれ、女らしくなり、綺麗になるリサ姉。  子供の頃は、俺と一緒に木登りなどをしていたのに、身長が追いつく頃には、すっかり女性になっていた。  髪が長くて、色白で、目が大きく、整った顔立ちで、女子ににしては、身長は高めの容姿。  いつも花が開くような笑顔で周りを明るくし、情に厚く、誰の話でも真剣に聞き、自分のことよりも相手のことを優先してしまうような女性。  好きだった。  憧れだけで終わらせたくない程に。  だけど、俺らの仲は近過ぎて、姉弟の関係から抜け出せずにいた。  俺は、リサ姉に男として見られることはなかった。  それでも、いつもリサ姉の側にいれる。  それだけでよかったのに。
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