10人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
彼女は死んだ。
とは言っても、命を亡くしたわけではない。
心を亡くしてしまったのだ。
1つ年上のリサ姉。
相沢 里沙。
いつもくっついて歩いていた俺。
斉藤 孝史。
もちろん名字が違うということは、血の繋がった姉弟ではない。
近所で幼い頃から親しかった俺達。
成長していくにつれ、女らしくなり、綺麗になるリサ姉。
子供の頃は、俺と一緒に木登りなどをしていたのに、身長が追いつく頃には、すっかり女性になっていた。
髪が長くて、色白で、目が大きく、整った顔立ちで、女子ににしては、身長は高めの容姿。
いつも花が開くような笑顔で周りを明るくし、情に厚く、誰の話でも真剣に聞き、自分のことよりも相手のことを優先してしまうような女性。
好きだった。
憧れだけで終わらせたくない程に。
だけど、俺らの仲は近過ぎて、姉弟の関係から抜け出せずにいた。
俺は、リサ姉に男として見られることはなかった。
それでも、いつもリサ姉の側にいれる。
それだけでよかったのに。
最初のコメントを投稿しよう!